新宿御苑の幽霊に悩まされる:東京の幽霊伝説

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新宿御苑の幽霊に悩まされる, 東京の幽霊伝説

新宿御苑の白い女が招く夜の怪異と恐怖の真実

 東京の中心に位置する新宿御苑は、四季折々の自然が美しく、観光客だけでなく地元の学生や家族連れにも人気の場所だ。しかし、閉園後の御苑には、決して触れてはならない“別の顔”が存在するという噂が、昔から囁かれている。

 17歳の女子高生・ミサは、その噂をただの作り話だと思っていた。好奇心が強く、危険よりも興味が勝ってしまう性格が、彼女をその夜の地獄へ導くことになるとも知らずに。

◆◆◆

【閉園後の新宿御苑へ】

「本当に行くの? ミサ、やめようよ……。閉園時間、もう過ぎてるよ」
 親友のユキが、スマホのライトを照らしながら辺りを見渡していた。夕方を過ぎたころには人影もなく、御苑の入り口付近は異様なほど静かだった。

「大丈夫だって。ほんの少しだけ中を覗くだけ。例の“白い女の幽霊”の動画、気になるでしょ?」
「いや、気にはなるけど……! でも実際に確かめる必要はないでしょ!」

「だってさぁ、ネットのコメント見た?『夜の御苑には絶対に入るな』『白い女を見たら終わり』とか、逆に気になるじゃん」

 深夜のテンションと好奇心、そして“幽霊なんているわけがない”という軽い気持ち。それらが重なり、二人は静まり返った新宿御苑へと足を踏み入れてしまった。

 中は想像以上に暗く、まるで別の世界に迷い込んだようだった。街の灯りが届かず、木々が黒い壁のように立ち並び、虫の声さえ聞こえない。

「やっぱり雰囲気、やばくない……?」
「動画ならこの暗さのほうがリアルに撮れるでしょ。スマホ構えて……」

 ミサは池のある広場へ向かって歩き始めた。池の周辺は噂では“霊が現れる場所”として語られている。

 その道中で、ミサは足元に落ちている白い布のようなものを見つけた。

「……これ、服の端? なんでこんなところに?」
「触っちゃダメだよ……気持ち悪い……」

 ユキの制止も聞かず、ミサはその布切れを拾い上げた。湿って重く、生温かい。まるで今ここで誰かが着ていたかのようだ。

「やっぱり気持ち悪い! それ捨てなよ!」
「平気だって。何かのコスプレ衣装の破れたやつとかじゃない?」

 だがその瞬間――。

 ――ザッ……ザッ……。

 木々の奥から、誰かが歩く音がした。しかも明らかに二人のほうへ近づいてくる。

「やばい……誰かいる……!」
「走るよ! 行くよユキ!」

 二人は必死で出口へ向かって走り出した。後ろから聞こえる足音は速度を増し、追いかけてくる。

 フェンスを越えた瞬間、足音はぴたりと止んだ。

「はぁっ……はぁ……っ! もう二度と入らないからね……!」
「本当に怖かった……!」

 二人が知らなかったのは――フェンスを越える直前、白い影がミサの足首へ手を伸ばしていたことだった。

◆◆◆

【帰りの電車で】

 混乱と興奮が少し落ち着いた頃、ミサは帰りの電車の中で、さっき撮った動画を確認していた。暗くてほとんど何も映っていないように見えるが――再生中、画面の端に白い影が横切った。

「……え?」

 拡大してみると、池のほとりに“白いワンピースの女”が立っている後ろ姿がくっきり映っていた。

「そんな……どういうこと……?」

 その瞬間。

 ――コツ……コツ……。

 電車の床を叩くような音。ミサはゆっくりと後ろを振り返った。

 だがそこには誰もいない。人影もない。
 しかし、電車の窓に反射した映像に――

 “顔のない白い女”がミサの真後ろに立っていた。

「やっ……いやぁぁぁぁ!!!」

 電車が急停車し、周囲の乗客が驚いてミサを見る。しかし後ろには誰もいない。冷たい空気だけが漂っていた。

◆◆◆

【家で続く怪異】

 帰宅したミサは恐怖と疲労で全身が重かった。今回の出来事は、まるで箱根の家でキッチンに現れた黒い着物の女と古い墓地の恐怖体験のように、家の中にまで不気味な影がつきまとっているかのようだった。

 シャワーを浴び、ベッドに横たわった瞬間だった。

 ――トン……トン……トン……。

 壁を叩く音がする。

「……ユキ? もしかして来てるの?」

 スマホを見るとユキからメッセージが入っていた。

『ミサ、家に着いた? 私いまお風呂入ってる〜』

 ――じゃあ、今の音は誰?

 壁の音は天井へ移動し、最後にはベッドの下から響いてきた。

「やっ……やめて……!」

 すると突然、ベッドが“ズルッ”と強く引かれた。ミサは悲鳴を上げ、部屋を飛び出す。

 リビングに逃げ込み、照明をつけると壁一面に白い手形が浮かび上がっていた。

「だ、誰なの……どうして……」

 スマホが勝手に動き、動画フォルダが開き、さっきの動画が再生された。

 画面には――

 白いワンピースの女がミサを見つめ、口元を“ゆっくりと吊り上げて笑う”姿が映し出されていた。

「いやああああああ!!!」

◆◆◆

【学校でも続く恐怖】

 翌日、眠れずに登校したミサの顔色は酷かった。

「ミサ、本当に大丈夫? なんかあったなら言ってよ」
「ユキ……私ね、昨日……家でもあの女を見たの……」

「え……やめて……」

 ユキは冗談ではないと悟り、青ざめた顔でミサの手を握った。

 しかしそのとき、教室の窓の向こうで白い影が横切った。

「ユキ! 今の見た!?」
「……ミサ、落ち着いて……誰もいないよ」

 だが、それは始まりにすぎなかった。

・黒板に“返して”と勝手に書かれる
・トイレの鏡に白い女の影が立つ
・誰もいないはずの廊下で足音
・教科書のページが勝手に破れる

 ミサは精神的に限界になり、泣きながらユキに相談した。

「返してって……何を返せばいいの……? 私、何か盗った覚えなんて……」

「あ……ミサ。あの布切れ……」

 ミサは気づいた。あれはただのゴミじゃない。あの女の一部だったのだと。

「返しに行かなきゃ……」
「やめなよ! 行ったら……取り憑かれるよ!」

「もう取り憑かれてる……。行かないと、もっとひどくなる……」

 ミサは夜、ひとりで新宿御苑へ向かう決意をした。

◆◆◆

【再び新宿御苑へ】

 夜の御苑は前回以上に重い気配を漂わせていた。その静寂と湿った空気は、まるで呼び戻された故郷と水神の呪われた契約を思わせるような、不吉な“水の気配”を含んでいた。

「……いるんでしょ? 出てきて……」

 ポケットから白い布切れを取り出した瞬間。

 ――ザァァ……。

 池のほとりに白い女が“ふわり”と浮き上がるように姿を現した。長い髪が顔を隠し、足は地面に触れていない。

「返シテ……」

 声は空気ではなく、ミサの頭の中へ直接響いた。

「これ……あなたの……?」
 ミサが布切れを差し出すと、女は突然、物凄い速さで近づいてきた。

「返シテェェェェ!!!」

「きゃああああああ!!!」

 風が強く吹き、布切れは手を離れ、池の中央へ落ちた。

 ――その瞬間。

 白い女は動きを止め、池の水面を見つめた。

 そして静かに、ゆっくりと湖面へ沈んでいった。

「……もう……いい……」

 そう囁くと、波紋だけが残った。

 ミサは膝から崩れ落ちた。

「終わったの……? 本当に……?」

 そう思った矢先。

 池の奥、闇の中で――

 “もうひとり”白い女がこちらを見ていることに気づいた。

 そしてその影は、ゆっくりと前へ進み出そうとしていた。

 ミサの体は動かない。声も出ない。

 ――返すべきものは、まだ他にもある。
 ――物語は終わっていない。

 そう告げるかのように、白い影が近づいてきた。

 ミサの恐怖は、ここからが本当の始まりだった。

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