禁断の魔法

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禁断の魔法

禁断の魔法

夜の静寂が包む山奥の村。そこには、決して口にしてはいけない「禁断の魔法」が存在すると言われていた。

「本当にやるつもりか?」

翔太は低い声で尋ねた。目の前には古びた神社があり、相棒の直人が震える手で古文書を握りしめていた。

「…俺は信じない。こんな迷信、ただの作り話だろ?」

直人は震えながらも笑った。しかし、その笑顔は引きつっていた。

彼らが探し出した古文書には、「この呪文を唱えれば、願いは叶う。しかし、決して代償を忘れてはならない」と記されていた。

「試してみる価値はあると思う。何も起こらなければ、それでいい」

直人は深呼吸し、紙に記された呪文を読み上げた。

「…クルノサ、ミカヅチ、カムナリ…」

言葉を発した瞬間、風が止み、神社の周囲が異様な静寂に包まれた。

「おい、なんかおかしくないか…?」

翔太が言うと、突然、神社の奥から低いうめき声が聞こえた。

「…だれ…さま…よん…だ…?」

二人は息をのんだ。目の前の社の扉が、ギィィと軋む音を立てて開いた。

中から、影のような存在が這い出てきた。それは、人の形をしていたが、目も口もなく、ただ黒い闇が渦巻いていた。

「……ッ!!」

翔太は声を上げようとしたが、喉が凍りついたように動かなかった。

「…願い…は…なに…?」

その存在が直人に向かって囁いた。

直人は震えながらも答えた。「お、俺は…成功したい…金持ちになりたい…」

影はゆっくりと直人の前に立ち、無数の手のようなものを伸ばした。

「…代償…」

次の瞬間、直人の体が激しく痙攣し、絶叫を上げた。翔太は動けず、ただその光景を見つめることしかできなかった。

「直人!!やめろ!!」

しかし、影は直人を抱え込むように包み込み、彼の姿は徐々に消えていった。

「た…す…け…」

最後の言葉を残し、直人は完全に闇の中へと消えた。

影は翔太を一瞥し、微笑むように揺れながら消えた。

それ以来、直人は戻らなかった。しかし、数日後、彼の名義の口座に巨額の金が振り込まれたという噂が流れた。

そして、神社には、新たな古文書が一枚置かれていた。

「願いは叶った。次は…誰が唱える?」

禁断の魔法は、今もその村のどこかで囁かれているのかもしれない。

翔太は数日間、放心状態だった。親友の直人が突然姿を消したことを誰にも説明できず、悪夢にうなされ続けた。

ある夜、翔太は夢の中で直人の声を聞いた。

「翔太…助けてくれ…ここは…暗い…苦しい…」

翔太は汗だくで目を覚ました。これはただの悪夢なのか?それとも直人の魂が助けを求めているのか?

翔太は神社へ向かった。古文書があった場所には、黒い手形が残されていた。そして、新たな文字が刻まれていた。

「呪文を解くには、同じ言葉を唱えよ。ただし、代償は更に大きくなる」

翔太は震える手で古文書を掴み、呪文を再び読み上げた。

「クルノサ、ミカヅチ、カムナリ…」

風が吹き荒れ、闇の存在が再び姿を現した。

「…代償…覚悟…できたか…?」

翔太は喉が張りつくような感覚に襲われたが、絞り出すように答えた。

「直人を返せ…!」

影は微笑み、翔太の体に触れた。その瞬間、翔太の視界は真っ暗になり、次に気がついたとき、彼は直人と共に漆黒の闇の中にいた。

「翔太…お前も来たのか…」

「ここは…?」

「俺たちは…もう戻れない…」

二人の絶望の叫びが、闇の中に消えていった。

その後、村では新たな噂が流れ始めた。神社に近づいた者が皆行方不明になり、呪文の書かれた古文書が再び現れるのだという。

禁断の魔法は、決して終わることのない呪いだった。

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