鬼灯の灯り

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鬼灯の灯り

鬼灯の灯り

夜の山道に、一軒の廃屋が佇んでいた。地元の人々は決して近づかない。その理由は、夜になると赤い鬼灯のような灯りが揺れるからだ。あれは誰かが灯しているのではなく、何かがそこにいる証拠だと言われている。

「おい、本当に行くのか?」 「当然だろ?あの灯りの正体を確かめるんだ。」

大学生の健一と直人、そして玲奈の三人は、都市伝説を確かめるためにその廃屋へ向かった。月が雲に隠れ、山道は静寂に包まれていた。

やがて、廃屋の前に到着すると、噂通り赤い灯りが窓の向こうでゆらゆらと揺れていた。風もないのに、まるで生きているかのように。

「やっぱりやめないか?」 「今さら怖気づくなよ!」 「でも…なんか変な感じがする…。」

玲奈が不安げに呟いたが、健一は意を決して扉を開けた。古びた木の軋む音が夜の静寂を破る。

中に入ると、埃と腐った木の匂いが鼻を突いた。懐中電灯を照らしながら進むと、奥の部屋で鬼灯のような灯りが揺れていた。

「本当にあったんだ…。」 「誰かいるのか?」

直人が声をかけたその瞬間、灯りが消えた。そして、何かが床を引きずるような音が響いた。

「…逃げるぞ!」

三人は慌てて引き返そうとしたが、玄関の扉が音もなく閉じた。暗闇の中、玲奈の悲鳴が響く。

「誰か…誰かいる!!」

懐中電灯の光が廊下の奥を照らすと、そこにはぼんやりとした影が立っていた。それは赤い灯りを手にした女だった。ぼさぼさの髪、白く爛れた顔。そして、その目は真っ赤に光っていた。

「出ていけ…ここは…私の家…。」

その声と同時に、廊下の灯りが次々と灯り、まるで三人を追い詰めるように迫ってきた。

「無理だ…出られない…!」

健一が扉を叩くが開かない。その間にも、女の影はすぐ近くまで迫っていた。

「イヤァァァ!!」

玲奈の叫び声と共に、鬼灯の灯りが爆ぜるように弾けた——。

翌朝、三人の姿はなかった。ただ、廃屋の窓には、いつもと変わらず赤い灯りが揺れていたという——。

数日後、健一たちの行方不明がニュースになった。警察が廃屋を調査したが、彼らの痕跡はなかった。ただ、廊下の壁には奇妙な手形が無数に残されていた。

健一の弟、翔太は兄の行方を知るため、独自に調査を始めた。そして、町の古老から驚くべき話を聞いた。

「あの家には、昔、ある家族が住んでいたんじゃ。だが、ある夜、火事が起こり、家族は全員焼け死んだと言われておる。特に、家の娘は手に赤い鬼灯を持ったまま息絶えたらしい。」

翔太は震えながら訊いた。「その娘の霊が、今も…?」

古老はゆっくり頷いた。「あの灯りは、彼女の魂そのものじゃ。誰かが来ると、自分の家を守るために…連れていくんじゃよ。」

その夜、翔太は兄の残した手帳を見つけた。そこには、廃屋に行く前の日記が書かれていた。

『明日、あの廃屋に行く。赤い鬼灯の謎を暴くんだ。』

最後のページには、震えた文字でこう記されていた。

『助けてくれ…鬼灯の灯りが…消えない…』

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